日経平均株価のために必要なものとは?
先に触れたように、現状では外断熱マンションは従来の一二割ほどコスト高になるからです。
「マンションを購入しようというお客さんに申し上げたいのは、『値段で決めないでほしい』ということです。
これからはマンションもしっかりした資産となる時代です。
また、毎日の暮らしと家族の健康を決める重要な住まいなのです。
どうか、それなりの勉強をされて、あとあと損のない、本当に価値あるマンションを選んでいただきたいと思います」(N氏)。
現状では、多くの消費者が立地条件、間取り、内装程度の情報でマンション購入を決めています。
二戸建て住宅を買う場合には、工法、材料、設備、デザインなど、すべてに関わって自分だけの住まいを手に入れる人も少なくありません。
それに比べると、マンション購入の場合はどうしても表面的な部分しか検討しようとしないケ−スが多くなってしまうのです。
それはデベロッパーが建てて分譲するという方式において、仕方ない面があります。
たとえば戸建てでは見積もりにしても、工事から資材、設備までかなり細かい部分も含めた明細がチェックされることも少なくありません。
マンションでは「二0坪で三000万」、それで終わりなのです。
「だから私はまじめに考えているのですけれど、マンションの原価をお客さんにオープンにしてはどうでしょうかと言っているのです。
マンションの中身がわからないから、表面的な見たくれだけで『あっちが高い、こっちが安い』となってしまう。
どうして安いのかは、わからない。
原価をオープンにしてしまえば分かるわけです。
『ああ、建築費が安いのだ、ということは、どこかで手を抜いているのかな』や『壁が薄いのか』などです。
そうなればマンションの本当の質について、お客さんだって勉強されるでしょう」(N氏)。
日本では土地神話というものがあって、マンションやアパートは財産にはならないと潜在的に思いこまれていました。
だから、平均で三六年しかもたないマンションを三0年のロ−ンを組んで購入することも成立していたのです。
「家賃を払うより得だろう」というわけです。
そうした需要サイドの発想が、「二0坪で三000万」というような分譲のやり方にもつながっていました。
これからは「ただ雨露がしのげればいい」といった感覚での住宅需要はなくなり、集合住宅においても個々人の人生観や生活に根ざした「住まい」としての質が考えられ、求められるようになってくるでしょう。
そういう時代には、さすがに原価のオープン化は過激だとしても、マンションのどこにどれだけのコストがかかっているのか、そのコストの意味がどこにあるのかを購入者に吟味してもらうことは大きな意味をもつようになるかもしれません。
ただし、顧客が何を求めているのか、市場ではそれが大前提です。
モデルルームへ行ったお客さんのアンテナにひっかかるのは、間取りとか、主婦であったらキッチンシステムとか、各部屋の扉とか、そういった雰囲気や表面的なものです。
外断熱マンションに住みたいと思っている人は、本質的にその良さを理解している人か、欧米でのマンション生活の経験者のどちらかでしょう。
雰囲気やイメージでマンションを選ぶと、外断熱マンションは「なんでこの程度のマンションがこんなに高いの?」となってしまいます。
デベロッパ−も顧客商売ですから、「高くて悪いか」とばかりに自社の理想を押しつけるわけにはいきません。
外断熱を広めるためには、なんとか質的に妥協しないでコストが下げられないか、という挑戦に取り組む必要があります。
外断熱の普及を社会的使命ととらえる康和地所では「外断熱マンションを賛沢品と思われてはダメだ」と考え、合理的で購入者のためにもなるコストダウンの方法をこれからの大きな課題としています。
「今後はそれに尽きますね。
たとえばデベロッパ−各社さんが全部外断熱工法になれば、部材費は下がります。
それによって同じ品質で大幅にコストダウンできます。
現状では樹脂サッシはアルミサッシの二1三倍もしますが、大量生産できれば安くなります。
今後の事業として、スケルトン(躯体のみ)で販売する、内装その他の設備についてはたとえば五段階くらいの仕様に分けて販売する、といったことも考えています。
いま分譲マンションは過剰設備です。
自社のマンションを選んでもらうために、あれもこれもと付けてしまう。
それが行き過ぎて、かえってユーザーは損しているのではないか。
キッチンや内装はいくらでも換えられますけど、建物の躯体はどうしようもありません。
とりあえず一00年もつ快適・健康マンション(躯体)を手に入れて、設備や内装はガマンしておく。
そして三0年くらいたったら今度は子どもたちにハイグレードな設備にしてもらう。
長寿マンションに住んで代々で家を良くしていくと、本当に良い住まいになっていくと思うんです」(N氏)。
そのようなマンション供給の仕方に消費者が追いついてきたとき、日本でもマンションがしっかりした資産として共通認識されるようになるのだと思います。
土地を確保して建設会社(ゼネコン)にマンションの建造を依頼し、ユーザーに分譲するのがデベロッパーです。
デベロッパ−が外断熱にこだわっても、実際に造る側がノウハウをもっていなければ建ちません。
そこで、ゼネコンの外断熱への取り組みについてもレポートしておきます。
大阪に本社をもつ南海辰村建設株式会社は、平成七年に南海建設株式会社と株式会社辰村組が合併して誕生しました。
環境保護のテ−マをベ−スにビルの建設やリフォームだけでなく、宅地・道路などの土木工事、鉄道関連設備工事等の事業を幅広く行っています。
この南海辰村建設が、早い段階から外断熱工法の研究を重ね、首都圏での外断熱繋明期において重要な役割を果たしてきました。
先に紹介した外断熱賃貸マンションのシリーズの施工も行っており、共同で外断熱の居住環境のデータを取ってその分析も継続中です。
外断熱を本気で研究して実際に建設まで行うようなゼネコンは、現状では稀有ともいえるほどの存在です。
まず、南海辰村建設としてどのような経緯で外断熱に取り組むようになったのか、営業部長・S氏にうかがいました。
「第一に、われわれが施工とともに設計も行っている、ということがあります。
その根本は、やはり結露問題でした。
オイルショック以後、内断熱のマンションがたくさん建てられた。
断熱がなかった時代は寒いだけでしたが、それからは結露やカビというもっとやっかいな問題が出てきたわけです。
それで勉強しました。
当時、設計施工を行うゼネコンなら、どこも結露に悩んで勉強したと思います。
石膏ボ−ドにウレタンを貼りつけた建材をコンクリートの内壁に張りつける『直張り法』なども行いましたが、根本的な解決にはなりませんでした。
勉強会では外断熱工法のことも話題にのぼり、その良さは理論的にも理解していました。
しかし断熱材を外に置くということは、外側の仕上げが大変だ、ということに行き着くんです。
タイルが張れないんですね。
なんとか貼れても、コストがかかる。
そういう建物をお客さんが欲しがるだろうか。
そういうことで、外断熱のことは自然消滅しました。
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